札幌が死ぬほど暑くて岩見沢も死ぬほど暑くて、
逃げ場なんてないんじゃないかと思う
汗を拭うハンカチは変色し、触りたくもなかった
気が狂いそうな思いをしながら、岩見沢の駅を跨いで東西に繋ぐ連絡通路を抜け、外に出ると、空には夏っぽい雲が出ていて
それがとても綺麗だった
あまりにも綺麗だから、「あれって何て言う雲なんだっけ?」って同行者に聞いたところ、「普通に入道雲ですよ」って言われた
そう、それだよ。普通に入道雲だった。きっと俺だって分かっていた。暑さで頭がイカれてるだけ
気温のせいか、一日中頭の中でcoccoのrainingが流れている
その歌詞は、人の事情とは関係なく無慈悲に起こる物理現象に対する心象風景を歌ったものなんだろうけれど
俺の脳では単に涼しそうなタイトルだから想起された気がする。阿呆みたいだね
しかし、パステルカラーみたいな青を背景に悠然とたちのぼる入道雲と、頭の中で流れ続ける、全ての点において完璧なその曲は、あまりにマッチしすぎていて、なんかちょっと喪失感。何も失ってもいないのに、今まで人から受けた優しさも全部列車の中に置き忘れてしまった
岩見沢でメーカーが最先端の技術を結集した素晴らしいものですよとプレゼンした装置は、クソの役にも立たそうなやつで、一体何しにここまで来たんだと思う。あの入道雲を見にきたのか、俺は。最高に夏っぽかったよ
想像していたよりも技術の最先端ってやつは、僕らの期待を超えてくれないね