町田kkkk

可能性の奴隷

converseのスニーカーの踵を踏み潰しながら

昨日、親友との酒の席で覚えていること
ニュアンスは大体同じなのに
sekai no owariworld’s end girlfriendじゃあ
全然格好良さが違うねって話
高校の同級生が処女懐妊した話
久しぶりに終電を逃し
乗り込んだタクシーの心地良さに
ハルチンって漫画を思い出す
指の形状で人は恋に落ちたりもするんだよ
そんな俺を迎え入れる深夜二時の妻の呆れたような顔
まっすぐ歩けない僕ら
出会った頃はまだ16の頃だったよねって狸小路で嘔吐する友人に言ったら
味のなくなったガムを噛んでいるような気分になったりした
夜の空気に気づかれないように混入されている成分を僕は知っている
分かっている
ただの願望に可能性を見出してしまったら僕等正気じゃいられない
友人が開いた台湾料理屋が繁盛していて嬉しかった
いつまで経っても炒めた野菜が嫌いだよ


目覚めて
まだ酒が抜け切らない体で
コンビニまで歩いていく
北海道とかいう不能な土地でも随分と春らしくなって
その匂いが甘美で
僕はふらふら
きっと酒のせいなんかじゃなく


気になったのは
歩道の傍にあった一際大きい木の幹
葉のないそれは一体夏までにどんな花を咲かせるのだろうか
そんな楽しみがあるのならば
こんな疲労で死んでしまいそうな生活も悪くはない
だだっ広い駐車場
npo法人みたいな麻雀倶楽部
美味しいパン屋を探している妻に
昨日仕入れたココペライってお店が美味しいらしいって情報を伝えると
クロワッサン食べたいなと言ったよね
食パンマンみたいな形状の食パンを探しているよ


激務の渦中で記憶力の悪さを露呈していく
覚えているのは楽しかった思い出だけ
そんな有様じゃ
生き抜く為の競争の中では
あまりにも無能だった
君の神を恵んでよ
七尾旅人みたいな喋り方で愛を伝えてみたり
抱きしめてみたり
カレーを食べて最北を目指す列車に乗る
妻の人参のカットの仕方が好きだった
だからといって褒めたりしなくなった
ただ少し、にやけてしまう
仕事の関係以上に仲の良かった彼は今も
東京で頑張って居るのだろうか


弱音を吐いたら
本当にそうだなって思ってしまいそうで
未だに吐き出せず
口の中でくちゃくちゃしている
恐怖で目覚めてしまわない朝を欲している
世界が終わるその前に