青森で夜勤をして、早朝に列車で家に帰る
眠れる状況の時の眠気ほど甘美なものはない
まるで幼少の頃に親から与えられた愛情のよう
俺は娘たちにそんな毛布のような安心感を与えられているだろうか
眠い目でなんとなく車窓から眺める景色は、バブル期かそれ以前に建築されたと思われるセンスのない廃墟とだだっ広い原っぱだけが延々と繰り返される北海道的なやつで、それらはいつも俺の気持ちを下げてくるけれど、でもこれが俺の原風景なんだろう
このクソ寒い荒涼とした景色が俺の人格やセンスを構築したのだと感じる
ありがとうなのか、ふざけんななのか分からない
妻に連絡して、お昼は家族で外食することになった
行き先が最近気に入っている中華料理屋になったからテンションがあがる
唐揚げと炒飯が美味しいから食べた方がいいよ
楽しい約束だと思った
「楽しい約束」
響きがいいね
最近は面倒臭い約束しかしていなかった気がする
微睡みながら思う
「made in chinaなんて信じチャイナいぜ」という駄洒落を思いつく
睡眠までもう少し
死ぬ時もこんな感じだったらいいな
高速で過ぎ去る、錆付いた蟹の看板の寂しい風景を眺めながら思う
これも駄洒落ね
アイスランドに行きたい
札幌まであと何マイル?
夜勤で歩きすぎたせいで腰と踵が痛い
列車のアナウンスが心地よい
美味しい炒飯まであと少し
点Pは加速していく