町田kkkk

可能性の奴隷

心を噛み砕き、お前が食べやすいようにしてやる

写真などというしゃらくさいものをしゃかしゃか撮影する暇があるなら、
己の網膜にその映像を植付けりゃあいいやないか、痴呆かお前らは
という、その現場に立ち会っている瞬間はまあなんか良い事言っている感じに聞こえるかもしれないが、
結局後になってからやっぱ撮っときゃ良かった。もうほぼ記憶にも残ってねーし痴呆か俺は、と後悔する事が多いアティチュードで
あらゆる場面に立ち向かっているため、結局のところ前述の通り後悔して
その場でしゃかしゃか撮影していた人なんかに、あの時の写真くれね?オナシャス!と頼み込むというはた迷惑な私なので
結婚式も当然ながらなんの写真も撮っておらず、後日妻にあの時の写真くれないかな?とお願いしたところ
その時点で既に嫌そうな顔をしていて、相変わらずケチ臭い女だなあとしみじみと苦虫を口の中で咀嚼し反芻し
まあいいやつって低姿勢でお願いした後、渋々メモリースティックに移してくれた写真データをパソコンに取り込もうとしたところ、
今度はそんな壊れかけのPCに写真という個人データをいれるんじゃねえ!と怒り出したので、
えっ?つって、何言ってんのこいつって、また意味わかんねえこと言い出したよーと考えながら
何回内容を脳内でリピートして見てもどうしてもその言葉の意図が分からず、やっぱいかれてんなこの女と思いつつ
もう一度詳しく聞いてみた結果、古いパソコンは壊れる可能性が高く、そんなパソコンに写真データを入れたまま破棄することになった場合
PCを引き取った業者にデータを復元され私の写真が流出し悪用される可能性があるから古いPCにいれちゃだめ!!との事だと分かり、
私は愕然としました。
なんだこの女は、頭ぶっ飛んでる、既に狂気の域まで
どんな確率の事象までリスク管理して生きているのだろう
PCが壊れる可能性は?
壊れて破棄になったとして、回収した大手メーカーの業者がデータを復元する可能性は?
更にそれを悪用する可能性は?
そもそも私達夫婦の結婚式の写真をどう悪用するのだろう
やべーよこいつまじもんだよと心の底から恐怖に慄きながら
私は無言で壁の染みを眺めているのです
できるだけ無心で、ただ一点を


これ先うまくやっていけるのだろうか
仲良く素敵な家庭を築いていけるのだろうか
分からないけどやるしかない
だんだん顔に見えてきた壁の染みにそう誓うのでした
よく目を凝らしてみるとその染みは、あの時永遠を誓った神父の顔に見えなくもない