AM6:00
小雨が鬱陶しくも肌に纏わりつき
朝焼けの眩しさで右脳がくらくらする海岸線を
我が愛おしきベッドを目指し人間不信気味に走り抜ける
辿りついた部屋の窓は
開けっ放しで
心地よい風が充満し
カーテンが優しく揺れている
消し忘れていたパソコンから流れ続けるカノンが
夜勤明けで腐った僕の体を浄化して
AM6:30
僕は溺死するくらい大量の水分が欲しいと願った
AM7:00
シャワーを浴びて
大量の水分を摂取した後
床に寝転がってセブンスターライトメンソールBOXに火をつける
僕はただ眠たかった
瞼が真鍮のように重かった
灰皿までの距離が遠く
新幹線ならあそこまで何秒でつくのだろうな、はははと笑う
部屋の中には
懲りもせずカノンがリピートされ続けていた
美しい旋律に
この曲はどんな人間にも平等に価値がある
現実は相も変わらず
末期患者を生産し続けるけれど
僕は眠たくて仕方ないから
そんなに気にはならない
「もっとうまくやれよ」とか
「もっと愛想良くしろよ」だとか
僕は曖昧に笑って答えて見えても
真に受けちゃあいないんだぜ
言葉の虚無性を芯で捉えて
けれど打つ返すつもりはないんだ
人間の優秀さを
成長速度やコミュニケーション能力で測るとするならば
僕はどこまでも無能ということになる
構いやしない
煙草の火を消して
目を瞑れよ
カノンが流れるぜ