町田kkkk

可能性の奴隷

眠れるといいな(いいね)

広島でネクタイを探し求め、汗をかきながら奔走した。この11月に、汗をハンカチで、拭いながら。礼節と地球環境に振り回されるサラリーマン風情を笑ってくれ。

信号待ちをしてる最中、女子高生と思われる二人組の会話が耳に入る。「好きという言葉を不安にならずに言えるってすごい」と一人が言った。38歳で二児の父親である俺はそれを聞いて信号無視をして走り出したくなるほど照れ臭くなった。何を恥ずかしい事を抜かしているんだ、こんな街中で、と瞬間的に思った。だけど数拍ののち、そんな繊細な感情を言語化し、友人に伝えることができるなんて、なんて素晴らしいことなんだろうと感銘を受けた。他人との関係性において、そんな儚い心の機微を抱けるなんて、俺にはもう無理だ。これが老化なのか、劣化なのか。鈍化なのか。俺はなあなあで生きることに慣れすぎて、鈍くなることで自分を守るやり方を身につけたせいで、そんな気持ちになることなんてもうない。だから、足取り軽やかに横断歩道を歩く少女よ、いつまでそのままでいられるか知らないけれど、願わくばずっとそのままでいて。

 

「傾向」というものが好きだ。それを見つけた時、神秘に触れたような、パズルが完成したような、なんとも言えない達観に似た感情を抱けるから。もっと俺にサンプルをくれないか。そして見出させてくれ、そのプログラムの規則性を。明日は、きっと嫌な気持ちになる仕事。俺はそれをこなすため広島まで来た。駅隣接の商業施設で食べたお好み焼きは、札幌で食べる風月のやつの方が美味しいなという感想だった。ラッコの才能。というフレーズちょっと前にテレビで聞いた。なんか頭に残ってる。それらも全て俺の傾向。ようやく新世界にdive。新世界って死後の世界のキラキラワードだよね。ブルーハーツの歌詞や曲のタイトルを引用するのはやめてくれ。むずむずする。

 

他の誰に不誠実であっても君には誠実でありたい。俺が好ましく感じるといった感情的な点を含め、メリットがなきゃ、優しくなんかなれない。それくらいの二面性を持って生きている。

だから、明日も誰かに優しくできたら俺も嬉しいな。家族以外にもそうなれたらいいな。早く娘にあいたい。

 

空を飛ぶにはどれくらいの助走が必要なんだろう。羽田空港の滑走路くらいで足りるのだろうか。僕は眠るよ。上質な眠りを求めて。貪るように眠る。強い意志に呼応するように。眠るんだ俺は。そうプログラムされているよ